学校外部評価委員 意見書「作品展を見学して」
今年も作品展を見学させていただいた。今年は加古 里子(かこさとし)さんの絵本をテーマとして取り上げられていた。玄関ロビーには、大きな木にとまった年長組のカラスのパン屋さんのカラスたちがお出迎えしてくれていた。木をくぐると、各クラスが作ったカラスシリーズの様々なお店がにぎやかにかわいく店開きをしており、一つ一つ丁寧に制作した作品からは、隅々まで指導の手が行き届いていることが理解できた。指導せれている理事長先生の説明を聞きながら各クラスの絵画制作を拝見した。発達段階に則しながらも、きわめてレベルの高い制作には毎年驚かされるが、どの課題もしっかりとしたねらいの上に工夫をされた教材で、子どもが自由に描く楽しさをさを保ちつつ、しっかり技術や感性の育ちを保証していることがうかがえる。美術教育学会の正会員でもいらっしゃり、ご自身も画家である理事長先生の、長年の保育現場での経験と指導力があって、このような高いレベルの作品展になっているのだと思われる。理事長先生のお話では、作品展に飾っている絵は一定のねらいをもって指導している作品になってしまうが、大きな紙に特にテーマもなく好きに描いたり、自由画帳に好きな時に思いのまま描く自由画などと両輪で制作活動は成り立っているとのこと。子どもたちの造形活動は、砂場や自然物の観察など広く深い子どもたちの活動や思いも含めているというところに、この園の教育の理念を感じた。来年また拝見させていただくことを楽しみにしている。
西九州大学短期大学部 幼児保育学科(造形美術担当)教授 牛丸和人